たくさん描いた木の玉を、あるほさんに初めてお披露目したのは、2017年5月31日、真室川温泉 梅里苑 敷地内にあるコワーキングスペース “おら家”でだった。

あるほさんはそれらを一目見て「思ったとおり!」と満足げに言った。私も実際に見せるまでは不安だったので、その反応にほっとしたし、うれしく思った。あるほさんは笑顔で続けた。「これで絵本、作ろうよ!」

私は急に顔が曇った。え?そりゃ、作れるかもしれないけど、どうなの?楽しいの?これ。

あるほさんいわく、先に絵があって、それからストーリーを生み出す方が、自由な発想ができるし、組み合わせ次第で無限にストーリーができるらしい。

言っていることはわからないではないが、ほんとにこんなので絵本になるのだろうか。今までやってきた自分のやり方と逆のことをやるということは、その時の私には、今までの自分を否定するようでちょっと悔しい気持ちも混じっていたようにおもう。仏頂面したその時の私の写真が残っていないのが、残念だ。(代わりに仏頂面したあるほさんの写真は、ある)

 こんな感じで、あまりよろしくない空気のなか、木の玉を並べて、こんなストーリーはどうか、と考え始めた。そしたら、あるほさんがまた、ぽつり。「ひとりで考えたら、なにも面白くないじゃん。ふたりで考えだすから、可能性が広がるわけでしょ!」

そうか。その通りだな!そう思ってから、ストーリーが出来上がるまでは時間がかからなかった。あっという間に小一時間でいくつもストーリーが生まれたのだった。

 「これはお父さんで、これはお母さん。これとこれと、家族にしよっか!」

「ウェートレスっぽいのもいるから、ファミレスで食事したらいいんじゃない?」

「動物もあるから、ペットにしよう」

 「お父さんは、とりあえず生、頼むよねぇ」

「おじいちゃん、焦って注文する前にソフトクリーム頼んじゃう!」

…こんな感じで出来上がったのが、木の玉っころちゃん②に収録されている「外食」である。

 ふたりとも大変気に入ってた、黄色い髪の毛のにっこりと笑った女の子。

泣いたり困ったりしている子を集めて並べて、どうしょうどうしょう言っていたら、この子がどーんと前にでてきて、「まったくもって、だいじょうぶ」って言った。

この木の玉たちは、私たちがわざわざ何かしかけなくても、勝手に向こうから何か喋ってくる。木の玉同士が喋り始める。私たちはそれを聞いているだけで、ストーリーが生まれるのだ。

 あるほさんの一番のお気に入りの赤い傘の女の子。私の一番のお気に入りのスイカ。この二つは、”雨”をテーマにつながった。雨が降って残念と思う子もいれば、うれしいものもいる。そう思うときもあれば、思わないときもある。

この「あめ」というタイトルのおはなしは、一番最初に出来たストーリーであり、木の玉っころちゃんを通して あるほなつきが伝えたいことや、行間、余白とは、どんなものなのか、またその可能性を、知る作品となった。

この木の玉たちが”木の玉っころちゃん”と名付けられるのは、また次のおはなし。   …続く。